ビジネスフォンの見積もり交渉と値引き|下がる費目の見極め方

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ビジネスフォン情報メディア編集部

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ビジネスフォンの見積書が1枚だけ手元にある状態は、判断材料としてはほとんど何もない状態です。総額が80万円でも120万円でも、比べる相手がいなければ高いのか安いのか分かりません。そこで多くの担当者が最初に思いつくのが「もう少し安くなりませんか」と伝えることですが、この聞き方だけで下がるのは、たいてい下げても業者が困らない費目です。

当サイトは今回、値引き交渉について公的機関・メーカー・販売事業者の公開情報を確認しましたが、「相場は何割引き」と言える根拠のあるデータは見つかりませんでした。そもそもメーカーが定価を公開していない商材なので、割引率の分母が存在しません。したがってこの記事では、割引率ではなく見積書を費目に割って、どこに交渉余地があり、どこを削ると後で高くつくのかを整理します。

金額そのものの目安はビジネスフォンの費用相場、工事費の内訳はビジネスフォン工事費の相場で扱っています。この記事は「見積書を受け取ってから契約するまで」の交渉プロセスに絞ります。

「何割引き」という交渉が成立しない理由

結論から書くと、ビジネスフォンにはそもそも公開された定価がほとんどありません。割引率とは定価に対する比率なので、分母がなければ「3割引き」も「半額」も意味を持ちません。この一点を押さえておかないと、交渉の第一手を無駄に使うことになります。

主要メーカー4社の価格公開状況を、それぞれの公式情報をもとに整理すると次のようになります。

メーカー価格の公開状況購入経路
サクサ公式サイトに定価の記載なし販売店経由(直販なし)
ナカヨ公式サイトに定価の記載なし「ナカヨ会」会員販売店経由
NTT東日本・西日本主装置は要見積もり。電話機の定額保守のみ月額を公開(標準電話機330円/台・税込)NTT東日本・西日本および取扱店
パナソニック品番単位で本体希望小売価格を公開(ただし確認した主装置6品番はいずれも販売終了)販売店経由

4社のうち価格の基準点を出しているのはパナソニックだけです。同社のPartner DIRECTでは、IP OFFICE Mタイプ主装置の本体希望小売価格が298,000円(税抜)と品番単位で示されています。同じシリーズのSタイプは148,000円、Lタイプは550,000円(いずれも税抜)です。ただし確認した6品番はすべて販売終了の表示であり、いま新品で買えるものではありません。同社の状況はパナソニックのビジネスフォンで詳しく整理しています。

それでもこの数字には使い道があります。「主装置とは、規模によって15万円から55万円くらいまで幅がある機器だ」という感覚を、公表された値で持てるからです。提示された見積書の主装置が、想定する規模に対してこの帯からどれだけ離れているかは、交渉に入る前の温度計になります。

見積書を4費目に割ると、交渉余地の性質が分かる

ビジネスフォンの見積書は、費目名の書き方こそ業者ごとに違いますが、中身は主装置・電話機・工事費・保守の4つに集約できます。そして4つは、金額が何で決まるかがそれぞれ違います。だから「一律に何割引いてください」という交渉が噛み合いません。

費目金額が何で決まるか交渉余地の性質
主装置収容する外線本数・内線台数から決まるグレード。新品か中古か同じグレードのまま大きく下がる余地は小さい。グレードを1段見直すほうが効く
電話機台数×単価。新品/中古の別と機種のランク台数と新品中古の選択で動く。全台を同じ機種にする必要はない
工事費作業内容(配線が既設か新設か)・作業員の人数・拠点数作業範囲の切り分けで動く。既設配線を使えるかで単価の前提が変わる
保守対象範囲(主装置のみか端末を含むか)・対応時間・定額かスポットか金額は下げられるが、下げた分は故障時の自社負担へ移るだけの場合がある

この表の要点は、上の2つ(主装置・電話機)は「何を買うか」で決まり、下の2つ(工事費・保守)は「どこまでやってもらうか」で決まるという違いです。前者は仕入れの問題なので業者の裁量は限られますが、後者は設計の問題なので、条件を変えれば正当に金額が変わります。工事費の内訳ごとの相場はOFFICE110の電話交換機(PBX)工事費の解説にも項目単位で示されています。

「値引きより先に構成を確定させる」と書かれた記事内の見出し画像

値引きを頼む前にやると効く3つのこと

値引き交渉で金額が動く幅よりも、依頼条件を確定させることで動く幅のほうが大きいことがほとんどです。順番を間違えないでください。

① 外線本数と内線台数を実数で確定させる

主装置はこの2つの数字でグレードが決まります。たとえばサクサのPLATIA IIIはStandard・Professional・Ultimateの3グレード構成です。同じIP多機能電話機(NP820)で比べても、最大収容数はStandardが16台、Professionalが72台、Ultimateが384台と大きく変わります。内線が18台なのか16台に収まるのかで、選ぶグレードが変わります。

実務では「将来を見て余裕を持たせましょう」という提案を受けることが多く、これ自体は誤りではありません。ただし余裕分は今の見積書に金額として乗ってきます。何台まで見込むのかを自社で決めてから聞けば、その余裕が必要かどうかを自分で判断できます。逆にここが決まっていないと、業者ごとに違う前提の見積もりが並び、比較できません。

② 新品か中古かを自分で決めてから聞く

同じ台数でも、新品と中古では単価の桁が変わります。OFFICE110が公開している電話機1台あたりの価格は、中古2,980円〜(税込)に対し新品20,400円〜(税込)です。値引き交渉で埋まる差ではありません。

ただし中古には、機種が販売終了品になりやすいという別の制約があります。中古ビジネスフォンの選び方中古ビジネスフォンの保証で扱っているとおり、中古で流通量の多い機種はメーカーの保守終了月が公表されているものが少なくありません。安さと引き換えに、使える年数の上限が先に来る可能性があります。中古を選ぶなら、型番と保守終了月をセットで確認してください。実際の在庫と価格帯はOFFICE110の中古ビジネスフォン一覧で機種単位に確認できます。

③ 同じ条件書を複数社に投げる

相見積もりは「価格競争を起こす手段」として説明されがちですが、実際に効くのは同じ条件で比べられる状態を作ることのほうです。条件が揃っていない相見積もりでは、安い見積もりが単に何かを含んでいないだけ、ということが起こります。

投げるべき条件は4つです。外線本数/内線台数/希望する機種の型番(または新品・中古の別)/保守の範囲。この4点を書面にして同じものを渡せば、返ってくる金額は同じ土俵の数字になります。導入方法そのものを比べたい場合はビジネスフォン比較ビジネスフォン業者ランキングもあわせて確認してください。

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「0円」「大幅値引き」の提示を受け取ったときの確認点

交渉の途中で、特定の費目が0円になった見積もりが出てくることがあります。これは値引きの結果というより、費目間で金額を移動させた設計であることが多いと考えてください。

OFFICE110は自社の解説ページで、0円と記載されるキャンペーンについて「条件付きで実質0円になる仕組みが一般的です」と書き、指定回線の契約・対象エリア・期間・台数上限・オプション加入などの適用条件があると明記しています(出典: OFFICE110「ビジネスフォンの保守契約」)。販売する側が自ら条件の存在を説明しているわけで、確認すべき項目もそこに書かれているとおりです。

受け取ったときに確認するのは、次の3点です。

  1. 0円になっているのはどの費目か:機器本体なのか、工事費なのか、初期費用の一部なのかで意味が変わります
  2. その条件として何を契約するのか:回線契約、最低利用期間、オプションの同時加入などが紐づいていないかを見ます
  3. 条件が終わった後どうなるか:期間満了後の金額と、途中で解約した場合の扱いを確認します

3番目については、レンタルの最低利用期間と途中解約で条項単位の読み方を整理しています。0円は割引ではなく、条件と引き換えの設計です。引き換えに何を渡すのかが分かれば、他社の見積もりと同じ土俵で比べられます。

削ると後で高くつく費目|保守を外す提案の扱い方

月額を下げる方法として、保守契約を外す、あるいは対象範囲を縮める提案が出てくることがあります。これは正当な選択肢のひとつですが、コストが消えるのではなく、故障時の自社負担に移るだけの場合があります。

OFFICE110の解説によれば、10台程度の電話端末を収容する小型主装置の定額保守は「2,000円〜3,000円 + 1台あたり100円〜300円」が目安で、毎月おおむね3,000円〜6,000円とされています。一方、保守契約がない場合のトラブル都度精算は25,000円〜35,000円程度が目安で、内訳は修理作業費が約10,000円〜20,000円、出張(派遣)費が約15,000円です。

この2つを突き合わせると、保守を外す判断が成立する条件を、年間の故障回数として表現できます。当サイトで計算したものが次の表です。表内の回数は「定額保守の年額とスポット修理の総額が並ぶ故障回数」であり、これを超える頻度で故障するなら定額保守のほうが安くなります。

定額保守の年額(月額)スポット1回 25,000円1回 30,000円1回 35,000円
36,000円(月3,000円)年1.4回年1.2回年1.0回
54,000円(月4,500円)年2.2回年1.8回年1.5回
72,000円(月6,000円)年2.9回年2.4回年2.1回

読み方はこうです。月3,000円の定額保守なら、年1回強の修理が発生するだけで元が取れる計算になります。月6,000円でも年2〜3回です。ここに、同じ解説ページが指摘している「症状・機種・部品供給状況によっては数十万円規模になる可能性」を加味すると、保守を外して浮くのは年36,000円〜72,000円、外して負う可能性があるのは数十万円という非対称な構図が見えます。

なおNTT東日本のコラムは「基本的には、どのような業種であってもビジネスフォンの定額保守契約を結んでおくことが推奨されます」としています。保守を外して値引きを得る方針を否定はしませんが、それは値引きではなくリスクの引き受けであると理解したうえで選んでください。金額の内訳はビジネスフォンの年間保守料金で解説しています。

逆に、削っても実害が小さい費目もあります。使う予定のないオプション機能、全台を最上位機種で揃える構成、拠点をまたぐ作業を1日に詰め込むための追加人員などです。削るなら、故障時の復旧に関わらない部分から削るのが原則です。

状況別|交渉の当て所はどこか

同じ「値引きしたい」でも、置かれている状況によって効く打ち手が変わります。自社に近いものを探してください。

あなたの状況効きやすい打ち手
新規開設で、台数がまだ確定していない値引き交渉より先に台数を確定させます。グレードが1段変われば、値引き交渉で動く額を超えることがあります
既存機の入れ替えで、配線がそのまま使える工事費が最大の交渉対象です。既設配線を流用できる範囲を明示し、新設前提の単価が乗っていないかを確認します
とにかく初期費用を抑えたい中古の採用と、初期費用を月額に振り替える契約形態の両方を比較します。総額で比較すると先に伝えておきます
数年以内に移転や増員の予定がある買い切りではなく期間を区切る契約が候補になります。値引き幅より、契約期間と解約条件のほうが金額への影響が大きくなります
提示額が妥当かどうかも分からない交渉に入る前に同一条件の見積もりをもう2社取ります。1社しかない状態では、下がったかどうかすら判定できません

そのまま使える依頼文と質問

条件を揃えるための依頼は、口頭よりメールのほうが確実です。以下は複数社に同じものを送る前提の文例です。角括弧の部分を自社の数字に置き換えてください。

お世話になっております。ビジネスフォンの導入(入れ替え)についてお見積もりをお願いいたします。条件は以下のとおりです。
・外線[ ]本/内線[ ]台(1年以内に[ ]台まで増える見込み)
・設置先[ ]拠点、既存配線[あり/なし]
・機器は[新品/中古/どちらも提案希望]
・保守は[定額/スポット/両方の金額を併記]
なお、本件は複数社に同一条件でご依頼しております。恐れ入りますが、主装置・電話機・工事費・保守の4項目に分けた内訳でご提示ください。

返ってきた見積もりに対して聞く質問は、次の4つで足ります。いずれも金額を下げてくださいとは言っていない点が重要です。条件を明らかにするだけで、比較できる数字が出てきます。

  1. 「提案されている主装置の型番と、そのグレードを選んだ理由を教えてください」:余裕分がどれだけ乗っているかが分かります
  2. 「工事費のうち、既存配線を流用できる場合に不要になる項目はどれですか」:新設前提の単価が乗っていないかを確認できます
  3. 「保守を定額とスポットにした場合の、それぞれの年間見込み額を教えてください」:外した場合の負担を金額で比べられます
  4. 「この見積もりの有効期限と、条件が変わる要素を教えてください」:期限を理由に判断を急かされる余地をなくします

この4つに具体的に答えられる業者は、金額の根拠を持っています。逆に1番の型番が出てこない場合、機器が確定しないまま総額だけが提示されている状態です。その見積もりは、まだ他社と比べられません。

利用者の口コミ

当サイトは、ビジネスフォン・クラウドPBXを実際に導入した企業からの口コミを口コミ投稿フォームで募集しています。見積もり交渉の経緯について出典を確認できた口コミがまだ集まっていないため、この記事には口コミを掲載していません。投稿が集まり次第、提示額と最終契約額の差、交渉で変わった費目、断られた要望といった属性とあわせて公開します。

よくある質問(FAQ)

Q. ビジネスフォンの見積もりは値引き交渉できますか?

A. 交渉の余地はありますが、費目によって性質が違います。主装置と電話機は仕入れ元と仕入れ状態(新品か中古か)で原価が決まるため、同じ機器のまま大幅に下がる余地は限られます。一方で工事費と保守は構成と範囲の設計で金額が動くため、台数や作業範囲を見直すほうが結果的に効きます。なお当サイトが確認した範囲では、値引き率の相場を示す公的・メーカーの公表データは見つかりませんでした。「相場は何割引き」という数字を前提に交渉しないでください。

Q. 「何割引きまでいけますか」と聞くのは有効ですか?

A. あまり有効ではありません。ビジネスフォンはメーカーが定価を公開していないことが多く、割引率の分母になる価格が存在しないためです。サクサとナカヨはいずれも公式サイトに定価の記載がなく、販売店経由の見積もりになります。割引率ではなく、外線本数・内線台数・機種の型番・保守範囲という条件を先に確定させ、同じ条件で複数社に金額を出させるほうが比較可能な数字が返ってきます。

Q. 初期費用0円やキャンペーンの提示は、実際に得なのですか?

A. 適用条件を読むまでは判断できません。OFFICE110は自社の解説ページで、0円と記載されるキャンペーンについて「条件付きで実質0円になる仕組みが一般的です」としたうえで、指定回線の契約・対象エリア・期間・台数上限・オプション加入などの適用条件があると明記しています。0円の対象がどの費目で、その代わりに何を契約するのかを費目単位で確認してください。

Q. 保守契約を外して値引きしてもらうのは得策ですか?

A. 故障頻度の想定によります。OFFICE110の解説では、小型主装置の定額保守は毎月おおむね3,000円〜6,000円、保守契約がない場合のトラブル都度精算は25,000円〜35,000円程度が目安とされています。単純計算では年1〜3回の修理で逆転する水準です。加えて部品供給の状況によっては数十万円規模になる可能性も同ページに記載されています。月額を下げた分がそのまま利益になるとは限りません。

Q. 相見積もりであることは業者に伝えるべきですか?

A. 伝えてかまいませんし、伝えたほうが条件が揃いやすくなります。ただし「他社より安くしてください」とだけ伝えると、金額だけを下げるために機器のグレードや保守範囲が変わった見積もりが返ってくることがあります。外線本数・内線台数・希望する機種の型番・保守の範囲を先に文書で示し、同じ条件で金額を出してもらうのが確実です。

交渉に入る前に済ませる3つのこと

ここまでの内容を、着手順に3つへ落とします。

  1. 外線本数と内線台数を数える:現在の実数と、1年以内の見込みを分けて書き出します。これが決まらないと主装置のグレードが決まらず、金額の比較が始まりません
  2. 新品・中古のどちらを軸にするか決める:電話機1台で中古2,980円〜と新品20,400円〜という差があり、交渉で埋まる幅ではありません。中古を選ぶ場合は型番と保守終了月の確認をセットにします
  3. 同じ条件書を3社に送る:内訳を4費目に分けて出してもらいます。1社しか手元にない状態では、提示額が下がったかどうかも判定できません

値引き交渉が効くのは、比較できる状態を作った後です。逆に言えば、同一条件の見積もりが3枚あれば、値引きを頼まなくても妥当な水準は見えてきます。1社ずつ条件を説明して回る手間を省くなら、条件を1回入力すれば複数社から見積もりが届く一括見積もりサービスが早い方法です。

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どの費目が下がり、どの要望が断られたかは、これから見積もりを取る企業の判断材料になります。

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