通話録音機能のあるビジネスフォン|先に尽きるのは件数

「録音できます」は答えの半分であることと、主装置・クラウドPBX5製品の公表値を実測したことを示す記事のアイキャッチ画像

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ビジネスフォン情報メディア編集部

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「通話録音はできますか」と聞けば、ほとんどの販売店が「できます」と答えます。ところがこの答えは、質問の半分にしか答えていません。録音は入れた翌日から動く機能ではなく、録れる量に上限がある機能だからです。上限に達したあと何が起きるかまで決めておかないと、いざクレームの内容を聞き返そうとした日に、その通話だけ残っていないという事態になります。

そして上限は「時間」と「件数」の2本立てで、多くの窓口では件数のほうが先に尽きます。この記事では、主装置とクラウドPBXあわせて5製品の公表ページを実際に取得して、録音についてどこまで数値が出ているかを並べます。そのうえで、公表されている容量と件数のどちらが先に天井に当たるかを計算します。あわせて、録音の告知をめぐって条文が実際に何を求めているかを、個人情報保護法と電気通信事業法の条文の文言で確認します。各社の数値はすべて公開ページからの引用で、そこから先の計算は前提を明記したうえで当サイトで行っています。

先に用語を3つ確認します。主装置は外線と内線をつなぐ交換機で、オフィスの壁や電話室に置かれる箱を指します。ボイスメールは主装置側に音声を蓄積する仕組みの呼び名で、留守番電話と通話録音の両方をここに収めている製品があります。チャネル(ch)は同時に成立する通話の本数を数える単位で、録音側にも「同時に何本まで録れるか」という別のチャネル数が存在します。主装置を持たない方式との構造的な違いはビジネスフォンとクラウドPBXの比較で扱っています。ここでは録音という1つの機能に絞ります。

5製品を実測すると、録音の「量」を出しているのは1社だけ

録音の有無を書いている製品は多く、録音できる量を書いている製品はほとんどありません。2026年8月28日に、主装置3製品とクラウドPBX2サービスの公開ページを取得して、録音に関する記載を数えました。

製品(確認したページ)録音機能の記載録音できる時間録音できる件数同時に録音できる本数
サクサ PLATIAⅢ(製品ページ)ボイスメール機能/さかのぼり録音/通話録音標準実装 約60分/USBメモリ64GB使用時 約2,000時間1メールボックスあたり最大9,900件/システム全体の総録音件数 最大10,000件/1件あたり最大255分12ch
NTT東日本 SmartNetcommunity αZX typeS,M(構成・仕様ページ)電話機の種別として「録音電話機」最大録音時間 約15分(通話中録音、応答メッセージを含む)=電話機の仕様欄記載を確認できず記載を確認できず
ナカヨ NYC Biz Server(仕様ページ)留守番電話=外線着信に自動応答し、用件メッセージを録音できる記載を確認できず記載を確認できず記載を確認できず
NTT東日本 ひかりクラウドPBX(サービスページ・料金ページ)「録音」の語が本文に0件記載なし記載なし記載なし
OFFICE PHONE(OFFICE110 クラウドPBXページ)通話録音機能=通話内容を自動で録音してクラウド上に保存記載を確認できず記載を確認できず記載を確認できず

サクサはPLATIAⅢの製品ページのボイスメール機能の欄で、録音時間を「標準実装約60分」「USBメモリ(オプション使用時)64GB:約2,000時間」、件数を「1メールボックスあたりのメッセージ件数:最大9,900件」「システム全体の総録音件数:最大10,000件」、1件の長さを「1件あたりの最大録音時間:255分」、同時本数を「同時録音可能数:12ch」と並べて公表しています。今回確認した5製品のうち、録音の量を数値で出しているのはこの1社だけでした。

この表の読み方には注意が必要です。「記載を確認できず」は「その機能がない」という意味ではありません。公開ページに書かれていないだけで、オプションのユニットや別売のシステムで対応できる場合があります。この表が言えるのは、公表されている情報だけで録音の設計まで判断できるのはサクサ PLATIAⅢ の1つで、残りは商談で数値を出してもらうしかないということだけです。メーカー各社の全体像はビジネスフォンのメーカー比較、機種ごとの詳細はサクサのビジネスフォンNTT東日本・西日本のビジネスフォンでそれぞれ扱っています。

録音の量を数値で公開しているのが5製品中1社だけだったことを示す記事内の図版

上限は2本あり、多くの窓口では件数のほうが先に尽きる

「約2,000時間ぶん録れます」という説明を聞いても、その2,000時間を使い切れるとは限りません。同じページに件数の上限が別に書かれているためです。サクサの公表値では、容量にあたる約2,000時間と、件数にあたるシステム全体の総録音件数10,000件が並んでいます。この2つは掛け算の関係ではなく、どちらか先に到達したほうで止まります。

そこで、公表されている約2,000時間を120,000分と置き、総録音件数10,000件で割ると、1件あたり12分になります。つまり平均12分より短い通話しか録らない窓口では、容量ではなく件数のほうが先に天井に当たります。前提は「約2,000時間=120,000分をすべて共有の枠として使えること」と「1件あたりの長さを一定と置くこと」の2点で、実機の圧縮方式や設定による差はここでは考えていません。

1件あたりの平均録音時間10,000件を録ったときの合計時間約2,000時間に対する割合先に尽きるほう
1分約167時間8.3%件数
2分約333時間16.7%件数
3分500時間25.0%件数
5分約833時間41.7%件数
8分約1,333時間66.7%件数
12分2,000時間100.0%ちょうど同時(分岐点)
15分2,500時間ぶんに相当容量が足りない容量(8,000件で満杯)

問い合わせ窓口の通話は3分前後で終わることが珍しくありません。その場合、公表されている約2,000時間のうち実際に使えるのは500時間、割合にして4分の1です。残りの1,500時間ぶんの容量は、件数の上限に阻まれて使われないまま残ります。見積書に「約2,000時間ぶん録音可能」とだけ書かれていたら、この件数の上限を必ず併記してもらってください。

なお同時に録音できる本数も別の上限です。サクサの公表値は12chで、これは同じ瞬間に12本まで録れるという意味です。契約している外線チャネル数がこれを超えると、ピーク時だけ録れていない通話が生まれます。席数とチャネル数の関係はコールセンター向けクラウドPBXで扱っています。

標準実装のままだと、1営業日で満杯になる規模がある

録音の設計で最初に決めるべきなのは、何日ぶん残したいかです。上の公表値を1日あたりの録音件数で割ると、満杯までの営業日数が出ます。前提は「1日あたりの録音件数を一定と置くこと」「1件あたりの通話を3分と置くこと」「1か月を20営業日として換算すること」の3点です。

1日あたりの録音件数標準実装 約60分(=3分×20件)で満杯までUSBメモリ64GB+総録音件数10,000件で満杯まで
20件1営業日500営業日(約2年1か月)
50件1営業日未満(午前中に到達)200営業日(約10か月)
100件1営業日未満100営業日(約5か月)
200件1営業日未満50営業日(約2か月半)
400件1営業日未満25営業日(約1か月)

標準実装の約60分という枠は、1日20件を録る窓口なら初日で埋まります。これは録音機能が弱いという話ではなく、標準実装のボイスメール領域が本来は伝言や留守番用の枠だからです。全席の通話を毎日録るつもりなら、外部メモリなどの拡張を前提に構成を組む必要があります。

右端の列も、数字ほど余裕があるわけではありません。1日100件の窓口で約5か月です。「半年前のあの電話」を聞き返す運用を想定しているなら、この時点で足りていません。クレーム対応の記録として残すのか、教育用に直近だけあればよいのかで、必要な期間はまったく変わります。ここを決めずに見積もりを取ると、金額だけが並んで比較できない見積書が届きます。届いた見積書の読み方はビジネスフォンの見積書チェックリストで扱っています。

録音が「電話機側」にあるのか「主装置側」にあるのかで意味が変わる

同じ「録音できます」でも、音声が溜まる場所が違えば運用も違います。NTT東日本はSmartNetcommunity αZX typeS,M の構成・仕様ページで、収容できる電話機の種別に「録音電話機」を挙げ、その仕様欄に最大録音時間として「約15分(通話中録音、応答メッセージを含む)」と記載しています。この約15分は電話機1台ごとの枠であり、システム全体の枠ではありません。しかも括弧書きのとおり、通話の録音と応答メッセージが同じ枠を分け合います。応答メッセージが録音枠をどれだけ削るかはIVR機能付きビジネスフォンで計算しています。

一方サクサの公表値は「システム全体の総録音件数」という書き方で、主装置側にまとめて溜める構成を示しています。ナカヨはNYC Biz Serverの仕様ページで、留守番電話を「外線着信に自動応答し、用件メッセージを録音できる。『応答専用モード』も選択できる」と説明していますが、これは着信に応答して用件を残す機能で、通話そのものを録る機能とは書き分けられています。時間や件数の記載も同ページには見当たりませんでした。

置き場所の違いは、次の3点にそのまま効きます。

  • 誰が聞けるか:電話機側に溜まる方式では、その席の端末を操作しないと聞けない運用になりがちです。上長が後から確認する要件があるなら、主装置側かクラウド側に集約する構成が要ります
  • 席を増やしたときどうなるか:電話機ごとの枠は席数に比例して増えますが、システム全体の枠は席を増やしても増えません。増席の予定があるなら、どちらの方式かで見積もりの伸び方が変わります
  • 故障したとき何が消えるか:端末側に溜めている場合、その端末を交換した時点で中身の扱いを確認する必要があります。保守契約の範囲はビジネスフォンの年間保守費用で扱っています

「クラウドPBXなら録音は標準」は成り立たない

クラウド型かどうかは、録音の可否を決める境目になっていません。2026年8月28日に、NTT東日本のひかりクラウドPBXのサービスページ同じサービスの料金ページを取得し、本文に「録音」という語が何件あるかを数えたところ、2ページとも0件でした。料金ページのオプション欄に並んでいるのは、全体チャネル追加利用料が10チャネルごと5,500円、VoIP-GWチャネル追加利用料が1チャネルごと550円、レンタルIP電話機が1装置ごと935円、LAN給電装置が1ポート用220円・8ポート用1,650円の5項目(いずれも税込)で、録音にあたる項目はありません。

一方OFFICE110はクラウドPBX「OFFICE PHONE」のページで、便利機能の1つとして通話録音機能を挙げ、「通話内容を自動で録音してクラウド上に保存し、外出先でも確認できる機能です」と説明しています。同じページの選ばれる理由の欄にも「通話録音やIVR、CTIなどのビジネスフォンの機能をはじめ、ネットFAXといった便利なクラウドサービスも標準搭載」と書かれています。ただし保存できる容量や保存期間にあたる数値は、同じページには見当たりませんでした。

つまりクラウドPBXの側でも、録音の有無は書いてあっても録れる量は書かれていないという状況は変わりません。ここは商談で数値を出してもらう領域です。在宅勤務でスマートフォンを内線化する構成の場合、録音がどこで行われるかはさらに分かりにくくなります。その構成の公表条件は在宅勤務対応クラウドPBX・スマホ内線化で整理しています。

「録音していると伝える義務」を定めた条文は見当たらない

録音の告知をめぐる説明は、条文まで戻ると景色が変わります。個人情報保護法にも電気通信事業法にも、「通話を録音していることを相手に伝えなければならない」と直接書いた条文は見当たりません。代わりに置かれているのは、利用目的についての義務です。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
(個人情報の保護に関する法律 第21条第1項)

読み取れることは3つあります。1つ目は、義務の対象が「録音していること」ではなく「利用目的」だという点です。録音した音声を何に使うのかを示すことが求められています。2つ目は、通知と公表のどちらでもよいと書かれている点です。「本人に通知し、又は公表しなければならない」という書き方で、選択が認められています。3つ目は、あらかじめ利用目的を公表している場合は、この義務の対象から外れると書かれている点です。

この構造からすると、冒頭にアナウンスを流すことは第21条第1項が名指しで求めている行為そのものではありません。逆に、アナウンスを流していても利用目的をどこにも示していなければ、この条文が求めているものは満たしていない、という読み方になります。同じ条文の第4項第4号には「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」には前三項を適用しないという定めもあります。ここまではすべて条文の文言です。実際の運用が適法かどうかの判断は条文の文言だけでは決まりませんので、自社に当てはめる部分は弁護士にご確認ください。

音声が個人情報にあたるかどうかも、定義の条文まで戻ると書いてあります。個人情報保護法第2条第1項第1号は、個人情報を「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(中略)により特定の個人を識別することができるもの」と定めており、その「記述等」の定義のなかに「音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項」という文言が含まれています。音声そのものが条文に明記されているという点は、社内ルールを作るときの出発点になります。同法第17条第1項は「個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(中略)をできる限り特定しなければならない」と定めていますので、利用目的を先に決めてから録音の運用を組む順番になります。

通信の秘密の条文は、通話の当事者である自社を名指ししていない

電気通信事業法の「通信の秘密」は、条文が誰を名指ししているかを読むと位置づけがはっきりします。

電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
2 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。
(電気通信事業法 第4条)

第1項が守るものとして挙げているのは「電気通信事業者の取扱中に係る通信」の秘密で、誰が守るべきかを条文の中で名指ししてはいません。第2項は名宛人を「電気通信事業に従事する者」と明示しています。条文の文言のうえでは、通話の当事者である自社を名指しした部分はどちらにもありません。録音の運用に直接あてはまる義務が書かれているのは、むしろ個人情報保護法の側です。関係する条文が誰を名指ししているかを1枚に並べると、次のようになります。

条文条文が名宛人としている者条文が求めていること自社が代表番号の通話を録音する場面での位置づけ
電気通信事業法 第4条第1項条文の中で名指ししていない(守る対象を「電気通信事業者の取扱中に係る通信」の秘密としている)その通信の秘密を侵さないこと条文の文言では、通話の当事者である自社を名指ししていない
電気通信事業法 第4条第2項電気通信事業に従事する者在職中に知り得た他人の秘密を守ること(退職後も同様)クラウドPBXを提供する事業者の従事者などが該当(自社の従業員一般を名指ししたものではない)
個人情報保護法 第17条第1項個人情報取扱事業者利用の目的をできる限り特定すること録音を扱う自社にかかる
個人情報保護法 第21条第1項個人情報取扱事業者あらかじめ公表している場合を除き、速やかに利用目的を通知または公表すること録音を扱う自社にかかる
個人情報保護法 第27条第1項個人情報取扱事業者一定の場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供しないこと録音を社外へ渡すときにかかる

この表で見てほしいのは、録音を社内で聞いている限りと、録音を社外へ渡す瞬間とで、効いてくる条文が入れ替わるという点です。個人情報保護法第27条第1項は、個人情報取扱事業者は一定の場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない、という定め方をしています。録音を弁護士や保険会社に渡す運用を想定しているなら、社内ルールを作る段階でこの条文まで含めて検討してください。ここも最終的な判断は弁護士にご確認ください。

告知のアナウンスを流すなら、その音声の置き場所も見積もりに入る

「録音させていただきます」と流す音声は、どこかで作ってどこかに置く必要があります。サクサはPLATIAⅢの製品ページで、クラウドの音声合成サービス「らくらくGuidance」について、年末年始や夏季休暇の案内、通話録音用応答や留守番応答、IVR(音声自動応答)などの音声ファイルを生成して使い分けられると説明しています。注記には「ご利用には有償のライセンスが必要です。1ライセンスにつき5ファイルが生成可能です。本サービスで音声ファイルを作成、その後ファイルを主装置へ取り込んでご利用ください」と書かれています。

ここで効いてくるのが「通話録音用応答」も、IVRのガイダンスや休業案内と同じ5ファイルの枠を使うという点です。録音の告知を窓口ごとに作り分けたり、日本語と英語で用意したりすると、その本数だけ枠が減ります。IVRを同時に検討している場合は、両方の本数を合計してからライセンス数を数えてください。IVRのガイダンス本数の数え方はIVR機能付きビジネスフォンで表にしています。

作った音声を主装置へ取り込む手順がある点も、運用に効きます。告知の文言を変えるたびに、音声を作り直して取り込む作業が発生します。文言の変更が年に何回起きるかを先に見積もっておくと、この作業を誰がやるのかを商談の段階で決められます。

録音を要件から外したほうがいいケースもある

録音は、入れれば入れるだけ得になる機能ではありません。次の状況に当てはまる場合は、要件から外すか、後から足せる構成にしておくほうが安全です。

  • 1日の着信が数件で、用件が定型の場合:予約の可否や在庫の確認だけで終わる窓口では、着信履歴とメモで足ります。サクサの公表値では発着信履歴は最大10,000件まで記録できますので、誰からいつ着信したかを追うだけなら録音は不要です
  • 外部メモリなどの拡張を付けない構成の場合:標準実装の枠しかない構成で常時録音を要件に入れると、上の表のとおり初日で満杯になる規模があります。拡張を付けないなら、録音は「必要な通話だけ手動で」という設計に切り替えてください
  • 証拠として残す想定なのに、上限到達時の挙動を決めていない場合:古い順に自動で消える設定になっていると、必要な時期の通話だけ残っていない状態が起こります。挙動を確認できないうちは、録音があることを前提にした社内ルールを作らないでください
  • 電話機側の枠を全席の常時録音の代わりにしようとしている場合:電話機ごとの枠は席数ぶん増えますが、1台あたりの上限は小さく、応答メッセージと共用の製品もあります。全席の記録を残す用途には向きません

あなたが「クレーム対応の記録を残したい」だけの場合は、全席の常時録音ではなく、代表番号を受ける数席に絞った構成のほうが上限に余裕が出ます。あなたが「新人教育に使いたい」だけの場合は、直近1か月ぶんが残れば足りることが多く、必要な容量は大きく下がります。あなたが「取引の証拠として長期保存したい」場合は、主装置側の上限では足りない可能性が高く、録音した音声を外部に取り出して保管する手順まで含めて設計してください。

見積もりの前に、この6つをそのまま聞く

録音は、聞き方を変えるだけで返ってくる見積書の精度が変わります。下の質問文はそのまま送って使えます。

確認したいことそのまま使える質問文空欄のまま進めると起きること
録音の保存先「録音データはどこに保存されますか。電話機の中ですか、主装置の内蔵領域ですか、外部メモリですか、クラウドですか」端末ごとに溜まる構成と集約する構成が混ざり、比較が成立しない
上限(時間と件数の両方)「録音できる合計時間と、録音できる合計件数の両方を数値で教えてください」時間だけ答えが返り、件数の上限で先に止まる
満杯になったときの挙動「上限に達したとき、古い録音から自動で消えますか。それとも新しい録音が止まりますか」必要な時期の通話だけ残っていない状態になる
同時に録音できる本数「同時に録音できるのは何チャネルですか。当社が契約する外線チャネル数と比べて、どちらが少なくなりますか」ピーク時間帯だけ録れていない通話が生まれる
取り出し方「録音した音声を取り出す手順と、取り出せるファイル形式を教えてください」社内では聞けるが、社外に提出する形にできない
告知アナウンスの用意「録音の告知を流す音声はどこで作り、どこに保存しますか。追加のライセンスは必要ですか」導入後に有償ライセンスの追加見積もりが出てくる

この6つが埋まった見積書どうしは、金額を並べて比べられます。埋まっていない見積書は、録音という同じ言葉で違うものを見積もっています。値引き交渉に入る前に、まずここを揃えてください。交渉余地がどこにあるかはビジネスフォンの見積もり交渉で扱っています。

条件を固めてから、同じ内容で複数社に投げる

録音の要件は、業者によって得意な構成が分かれます。相談先の性格を先に把握しておくと、往復の回数が減ります。

相談先向いている状況
EMEAO!(一括見積もり)残したい期間と件数は決まっているが、どの業者ならその構成を組めるか分からず、審査を通過した業者から選んでもらいたい
OFFICE110クラウドPBX側で通話録音を標準搭載している構成を含めて、販売・工事・保守を1社で完結させたい
NTT東日本回線から一体で契約したく、既存の主装置に録音を足す場合に何が必要かを含めて確認したい

各社の対応範囲の違いはビジネスフォン業者の比較、評価の並びはビジネスフォン業者ランキングで確認できます。

条件を1回入力すれば複数社に同じ内容が伝わる一括見積もりサービスなら、録音の前提がずれたまま金額だけ並ぶ事態を最初から防げます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 通話録音は、相手に「録音しています」と伝えないと法律違反になりますか?

A. 「録音していると伝えること」そのものを義務として定めた条文は、個人情報保護法にも電気通信事業法にも見当たりません。個人情報保護法第21条第1項が定めているのは、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない、という内容です。条文が求めているのは録音の事実そのものではなく利用目的で、しかも通知と公表のどちらでもよいと書かれています。同条第4項第4号には、取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合には前三項を適用しない、という定めもあります。ただし個別の運用が適法かどうかは条文の文言だけでは決まりません。自社の状況に当てはめる部分は弁護士にご確認ください。

Q. 通話の音声は個人情報にあたりますか?

A. 個人情報保護法第2条第1項第1号は、個人情報を、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの、と定めています。そしてこの記述等の定義のなかに、音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項、という文言が置かれています。音声も記述等に含まれる書き方になっており、そこから特定の個人を識別できる場合には個人情報にあたる、という構造です。録音の社内ルールを作るときは、同法第17条第1項が、個人情報を取り扱うに当たってはその利用の目的をできる限り特定しなければならない、と定めている点も合わせてご確認ください。

Q. 自社の通話を録音すると、電気通信事業法の通信の秘密に触れますか?

A. 電気通信事業法第4条第1項は、電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない、と定めています。第2項は、電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない、その職を退いた後においても、同様とする、という内容です。第1項は守る対象を電気通信事業者の取扱中に係る通信としており、誰が守るべきかを条文の中で名指ししてはいません。第2項の名宛人は電気通信事業に従事する者です。条文の文言のうえでは、通話の当事者である自社を名指しした部分はどちらにもありません。ただし自社の録音運用がこの条文との関係でどう評価されるかは、条文の文言だけでは決まりません。個別の判断が必要な場合は弁護士にご確認ください。

Q. 主装置の標準機能だけで、毎日の通話を録音し続けられますか?

A. 機種によります。サクサはPLATIAⅢの製品ページで、録音時間を標準実装約60分、USBメモリをオプションで使用した場合の64GBで約2,000時間と公表しています。標準実装の約60分は、1件3分の通話なら20件ぶんにあたります。1日20件を録音する窓口であれば1営業日で使い切る計算です。常時録音を要件にするなら、外部メモリなどの拡張を前提に見積もりを取ってください。なおNTT東日本がSmartNetcommunity αZX typeS,Mの構成・仕様ページで公表している最大録音時間 約15分(通話中録音、応答メッセージを含む)という数値は、主装置ではなく電話機の仕様欄に置かれたものです。

Q. クラウドPBXにすれば通話録音は必ず付いてきますか?

A. サービスによります。2026年8月28日時点で、NTT東日本のひかりクラウドPBXのサービスページと料金ページを取得して確認したところ、本文に録音という語が1件もありませんでした。一方OFFICE110はクラウドPBX「OFFICE PHONE」のページで、通話録音機能を、通話内容を自動で録音してクラウド上に保存し、外出先でも確認できる機能です、と説明しています。ただしこちらも保存できる容量や保存期間にあたる数値は同じページに見当たりませんでした。記載がないことは機能がないことを意味しませんが、公表値だけでは判断できないという点では両者とも同じです。

相談する前に、この4つを数字にしておく

新しく入れる場合も、既存の主装置に足す場合も、揃える数字は同じです。

  1. 1日あたりの録音件数を数える:全席なのか代表番号だけなのかを決めてから、1週間ぶんの着信件数を数えて1日平均を出します。この数字が、上限に到達するまでの日数を決めます
  2. 1件あたりの平均通話時間を測る:この数字が、容量と件数のどちらが先に尽きるかを分けます。12分より短ければ、公表されている総時間は使い切れません
  3. 残したい期間を決める:直近1か月なのか、1年なのか、取引の証跡として数年なのかで、必要な構成がまったく変わります。ここが決まっていないと見積書を比べられません
  4. 録音した音声の利用目的を先に文章にする:個人情報保護法第17条第1項が利用目的の特定を求めていますので、社内ルールの起点になります。ここが決まると、告知の文言も自然に決まります

この4つが埋まっていれば、各社から返ってくる構成が同じ土俵に乗ります。逆にここが空欄のまま「通話録音を付けたい」とだけ伝えると、保存先も上限も違う見積書が、金額だけ並んで届きます。

通話録音の導入で、想定と違ったことはありましたか?

上限に達したときの挙動や、録音を取り出すときに困ったことは、これから検討する企業の助けになります。

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