IVR機能付きビジネスフォン|留守電の自動応答とは別物

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代表番号にかかってくる電話の半分が「請求書の宛名を直してほしい」「注文した品はいつ届くか」で、そのたびに誰かが受話器を取って担当へ回しています。この取り次ぎを減らしたくてIVRという言葉にたどり着き、いま使っているビジネスフォンでできるか販売店に聞いたところ、「自動応答なら付いています」という返事が返ってきた——。ここで話を進めてしまうと、望んだものとは違う機能の見積書が届きます。
各社が公表している仕様の上では、「自動応答」と「IVR」は別の機能として書き分けられています。この記事では、主装置とクラウドPBXあわせて6製品の公表ページを実際に開いて、どこにIVRの記載があり、どこに無いのかを並べます。そのうえで、ガイダンス音声を用意するのに何が必要か、IVRを足したときに回線がどれだけ余分に埋まるかを、公表値を起点に計算します。金額と仕様の数値はすべて各社の公開ページからの引用で、そこから先の計算は前提を明記したうえで当サイトで行っています。
先に用語を3つ確認します。IVRは Interactive Voice Response の略で、日本語では自動音声応答と訳されます。発信者に音声ガイダンスを聞かせ、押した番号によって接続先を変える仕組みです。主装置は、外線と内線をつなぐ交換機で、オフィスの壁や電話室に置かれる箱を指します。チャネル(ch)は同時に成立する通話の本数を数える単位です。クラウドPBXは主装置の役割をインターネット上のサーバーが担う方式で、両者の構造的な違いはビジネスフォンとクラウドPBXの比較で扱っています。ここではIVRという1つの機能に絞ります。
「自動応答」と「IVR」は、公表値の上では違う機能を指す
この2つを混同したまま相談すると、取り次ぎは1件も減りません。違いは、発信者が何をするかにあります。
ナカヨはNYC Biz Serverの仕様ページで、留守番電話を「外線着信に自動応答し、用件メッセージを録音できる。『応答専用モード』も選択できる」と説明しています。自動で応答して、録る。ここまでです。同じページには「圏外トーキー」という機能もあり、こちらは「着信先の電話機が圏外や電源OFFの場合、その旨をトーキー(音声ガイダンス)で通知する」と書かれています。音声ガイダンスは流れますが、発信者に選ばせるわけではありません。
一方サクサはPLATIAⅢの製品ページで、IVR機能を「IVR機能を利用することで、かかってきた電話に自動応答し、番号案内とお客様のプッシュ操作により、該当部門へつなげることができます」と説明し、続けて「オペレーターを介さず着信先の振り分けを行うことができるので、業務の効率化やコスト削減につなげることができます」としています。「プッシュ操作により」「該当部門へつなげる」という2語があるかどうかが、両者を分ける境目です。
| 音声が流れる機能 | 発信者がすること | そのあと何が起きるか | 取り次ぎは減るか |
|---|---|---|---|
| 留守番電話(自動応答) | 用件を話して切る | メッセージが録音される | 減らない(あとで聞いて折り返す作業が発生する) |
| トーキー・ガイダンス通知 | 聞くだけ | 状況(圏外・時間外など)が音声で伝わる | 減らない(案内して終わる) |
| IVR(自動音声応答) | 案内を聞いて番号をプッシュする | 選んだ番号に対応する内線へ直接つながる | 減る(人が介在しない) |
販売店への確認は、「自動応答はできますか」ではなく「発信者のプッシュ操作で着信先を振り分けられますか」と聞いてください。前者は多くの機種で「できます」と返ってきますが、それは表の1行目のことかもしれません。
主装置・クラウドPBX 6製品の公表状況を実測した
プッシュ操作による振り分けを明記していたのは、6製品のうち2つでした。2026年8月27日に各社の製品ページ・仕様ページを開いて、IVR・自動音声応答・音声ガイダンス・自動応答という語がどう使われているかを確認した結果が次の表です。
| 製品・サービス | 種別 | プッシュ操作で振り分ける記載 | 自動応答(録音・案内)の記載 | ガイダンス音声の作り方の記載 |
|---|---|---|---|---|
| サクサ PLATIAⅢ | 主装置 | あり(「IVR機能」として説明) | あり(ボイスメール・通話録音) | あり(「らくらくGuidance」で音声合成) |
| ナカヨ NYC Biz Server | 主装置 | 仕様ページに記載を確認できず | あり(留守番電話・応答専用モード・圏外トーキー) | 記載を確認できず |
| ナカヨ NYC-X | 主装置 | 仕様ページに記載を確認できず | 記載を確認できず(回線容量と外形仕様の表のみ) | 記載を確認できず |
| NTT東日本 αZX typeS,M | 主装置 | 構成・仕様ページに記載を確認できず | あり(録音電話機の「応答メッセージ」) | 記載を確認できず |
| NTT東日本 ひかりクラウドPBX | クラウドPBX | サービス・料金ページとも記載を確認できず | 記載を確認できず | 記載を確認できず |
| OFFICE110 OFFICE PHONE | クラウドPBX | あり(標準搭載と明記) | あり(通話録音) | 記載を確認できず |
この表の読み方には注意が必要です。「記載を確認できず」は「その機能が無い」という意味ではありません。公開ページに書かれていないだけで、オプションのユニットや外付けの装置で対応できる場合があります。この表が言えるのは、公表されている情報だけで判断できるのはサクサ PLATIAⅢ と OFFICE PHONE の2つで、残りは商談で確認するしかないということだけです。逆に言えば、要件にIVRが入っているのに何も聞かずに相見積もりを取ると、対応可否が揃っていない見積書が並びます。
メーカー各社の全体像はビジネスフォンのメーカー比較、機種ごとの詳細はサクサのビジネスフォンとナカヨのビジネスフォンでそれぞれ扱っています。

「クラウドPBXなら標準でIVR」は成り立たない
クラウド型かどうかは、IVRが使えるかどうかの判断材料になりません。同じクラウドPBXでも、公表内容は正反対でした。
OFFICE110はクラウドPBX「OFFICE PHONE」のページで、選ばれる理由の1つとして「通話録音やIVR、CTIなどのビジネスフォンの機能をはじめ、ネットFAXといった便利なクラウドサービスも標準搭載」と記載しています。機能の説明欄では、IVR(自動音声応答)を「着信時に自動で音声ガイダンスを流し、要件に合わせて着信を振り分ける機能です。取り次ぎが簡略化し人件費削減にも繋がります」としています。標準搭載であることと、振り分ける機能であることの両方が書かれています。
これに対して、NTT東日本のひかりクラウドPBXの料金ページには、IVRという項目自体がありません。オプション欄に並んでいるのは次の5行だけです。
| 区分 | 項目 | 単位 | 月額利用料(税込) |
|---|---|---|---|
| チャネル追加 | 全体チャネル追加利用料 | 10チャネルごと | 5,500円 |
| チャネル追加 | VoIP-GWチャネル追加利用料 | 1チャネルごと | 550円 |
| 機器レンタル料 | レンタルIP電話機 | 1装置ごと | 935円 |
| 機器レンタル料 | LAN給電装置(1ポート用) | 1装置ごと | 220円 |
| 機器レンタル料 | LAN給電装置(8ポート用) | 1装置ごと | 1,650円 |
同サービスのサービス紹介ページ本文にも、IVR・自動音声応答・音声ガイダンスにあたる記載は見当たりませんでした。月額の内訳に項目が無いということは、少なくとも「申し込めば月いくらで付く」という形では公表されていないということです。ID単価やチャネルの数え方の詳細はコールセンター向けクラウドPBXで計算していますので、料金設計そのものを比べたい場合はそちらを参照してください。
あなたが「クラウドに替えれば取り次ぎが自動化される」と説明を受けている場合は、その場でサービス名を確認してください。サービス名が分かれば、公開されている機能一覧に振り分けの記載があるかを自分で確かめられます。
ガイダンス音声は「作る」ところに費用と手間がかかる
IVR本体が使えても、流す音声は別に用意する必要があります。ここを見落とすと、導入後に「ガイダンスを1本増やすだけで追加費用が出る」という事態になります。
サクサはPLATIAⅢの製品ページで、クラウドサービス「らくらくGuidance」について「クラウドサービスでお客様が好きな言葉を音声合成して、ガイダンスを作成できます。年末年始や夏季休暇の案内、通話録音用応答や留守番応答、IVR(音声自動応答)などの音声ファイルを生成して、使い分けることも可能です」と説明しています。そのうえで注記に、「ご利用には有償のライセンスが必要です。1ライセンスにつき5ファイルが生成可能です。本サービスで音声ファイルを作成、その後ファイルを主装置へ取り込んでご利用ください」と明記されています。
この2つの条件は、運用の形をかなり具体的に決めます。1つは、音声ファイルの本数がライセンス数を決めること。もう1つは、作った音声を主装置へ取り込む手順があることです。後者は、ガイダンスを差し替えるたびに主装置側の作業が発生するという意味になります。ブラウザの管理画面だけで完結する運用を想定していると、想定より重くなります。
では、実際に何本の音声ファイルが必要になるのか。分岐のあるノードごとに1本のガイダンスを流す前提で、公表されている「1ライセンス=5ファイル」を当てはめて数えると次のようになります。終端で個別のメッセージ(「営業時間は9時から18時です」など)を流す場合は、その分を別途加算してください。
| ガイダンスの構成 | 必要な音声ファイル数 | 必要なライセンス数 |
|---|---|---|
| 1階層・3分岐(例:1営業/2サポート/3その他) | 1本 | 1 |
| 1階層・5分岐 | 1本 | 1 |
| 2階層・3分岐×3 | 4本 | 1 |
| 2階層・5分岐×3 | 6本 | 2 |
| 3階層・3分岐×3×3 | 13本 | 3 |
| 2階層(3×3)+時間外・休業日・混雑時の3案内 | 7本 | 2 |
| 上記+年末年始・夏季休暇の作り分け | 9本 | 2 |
この表で見てほしいのは、分岐の数を増やしても本数はほとんど増えず、階層を1つ深くすると一気に増えるという非対称です。1階層で5つに分けても音声は1本のままですが、2階層にした瞬間に第2階層のノード数だけ本数が積み上がります。取り次ぎ削減が目的なら、まず1階層で分岐を多めに取る設計のほうが、必要なライセンスも、発信者が聞かされる時間も短く済みます。
らくらくGuidanceを含むサクサの機能全体はサクサ ビジネスフォンの特徴と機種で扱っています。
応答メッセージは、通話録音の時間を食う
ガイダンスの置き場所によっては、録音できる時間がその分だけ削られます。NTT東日本はSmartNetcommunity αZX typeS,M の構成・仕様ページで、録音電話機の最大録音時間を「約15分(通話中録音、応答メッセージを含む)」と公表しています。この約15分は、通話の録音と応答メッセージが分け合う枠です。
約15分を900秒として、応答用の音声を1本30秒で置いた場合に通話録音へ残る時間を計算すると次のようになります。前提は「公表されている約15分=900秒がすべて共有の枠であること」と「1本あたりの長さを一定とすること」の2点です。
| 置く応答メッセージ | メッセージが使う時間 | 通話録音に残る時間 |
|---|---|---|
| 1本(30秒) | 30秒 | 約14分30秒 |
| 3本(各30秒) | 90秒 | 約13分30秒 |
| 5本(各30秒) | 150秒 | 約12分30秒 |
| 10本(各30秒) | 300秒 | 約10分 |
| 5本(各60秒) | 300秒 | 約10分 |
元が約15分ですから、そもそも常時録音を前提にできる枠ではありません。案内の作り分けを増やすほど、残る枠はさらに小さくなります。通話録音を要件に含めるなら、この枠とは別に録音の仕組みを用意するか、録音側の容量が公表されている機種を選ぶ必要があります。参考までに、サクサはPLATIAⅢの録音仕様として、標準実装で約60分、オプションのUSBメモリ64GB使用時で約2,000時間、同時録音可能数12チャネルと公表しており、桁が違います。αZXの機種構成と保守の考え方はNTT東日本・西日本のビジネスフォンで扱っています。
IVRを入れると、1本あたりが回線を使う時間が延びる
IVRは同時に受けられる本数を増やす機能ではありません。むしろ逆で、1件あたりの回線占有時間が延びます。理由は単純で、ガイダンスを流している間も、発信者が番号を押すのを待っている間も、通話はすでに成立していて外線チャネルを1本使っているからです。人が出るまで呼び出し音が鳴っているだけの状態とは異なります。
この前提で、ガイダンスと選択待ちに使う秒数が、1本あたりの占有時間を何割増やすかを計算したのが次の表です。表の「平均通話時間」は、ガイダンスが終わって担当者と話し始めてからの時間を指します。
| 平均通話時間\ガイダンス+選択待ち | 15秒 | 30秒 | 45秒 | 60秒 |
|---|---|---|---|---|
| 1分 | +25% | +50% | +75% | +100% |
| 2分 | +12.5% | +25% | +37.5% | +50% |
| 3分 | +8.3% | +16.7% | +25% | +33.3% |
| 5分 | +5% | +10% | +15% | +20% |
効いてくるのは、1件あたりの通話が短い窓口です。配送状況の確認のように1分で終わる用件が中心の窓口で、30秒のガイダンスを前に置くと、回線が埋まっている時間は5割増えます。3階層のガイダンスを組んで選択待ちが積み重なれば、60秒に届くこともあり、その場合は2倍です。逆に、1件5分以上話す相談窓口なら、同じ30秒でも1割の増加にとどまります。
この増加が問題になるかどうかは、外線チャネルにどれだけ余裕があるかで決まります。サクサはPLATIAⅢの外線収容数について、ひかり電話オフィスタイプの場合はStandard・Professional・Ultimateのいずれも最大8チャネルと公表しています。グレードを上げても、回線メニューが同じなら8のままです。ひかり電話オフィスAの場合はStandardが最大16チャネル、Professionalが最大32チャネル、Ultimateは基本架で最大64チャネルと段階が付きます。8チャネルのまま短時間の着信が多い窓口にIVRを足すと、話中が増える方向に働きます。着信件数から必要なチャネル数を出す手順はEC事業者向けビジネスフォンで計算しています。
IVRを入れないほうがいいケースもある
取り次ぎが多いという理由だけでIVRを決めると、電話が減るのではなく、かけ直しと苦情が増えることがあります。ここまでの計算から導かれる「向かない条件」は次のとおりです。
- 用件がほぼ1種類しかない:分岐する先が実質1つなら、発信者は案内を聞かされるだけで、着信先は変わりません。ガイダンスの秒数と作成ライセンスの費用だけが増えます
- 1件あたりの通話が1〜2分と短い:上の表のとおり、短い通話ほど回線占有の増加率が大きくなります。外線チャネルに余裕がない状態で足すと、話中が増えます
- 相手が急いでいる前提の窓口:修理・故障・キャンセル期限が絡む問い合わせでは、階層を降りる時間そのものが不満につながります
- 固定電話からの発信が多い高齢の顧客層:プッシュ操作の前提が崩れると、番号を押さずに待ち続ける発信者が出ます。この場合、無操作時にオペレーターへ回す設定を必ず用意してください
- 取り次ぎ先の担当者が固定席にいない:振り分けた先が不在なら、結局は代表へ戻ります。IVRの前に、転送やスマホ内線で受け先を確実にするほうが先です
あなたが「用件は3種類以上に分かれていて、1件あたり3分以上話し、担当者は席にいる」という状況なら、IVRは素直に効きます。逆に上の5つのどれかに当てはまるなら、先に手を付ける場所が別にあります。担当者の受け先を安定させる方向の打ち手は在宅勤務のビジネスフォンで扱っています。
見積もりの前に、この5つをそのまま聞く
公開ページで判断できない部分は、質問文を固定して全社に同じ内容で投げるのが確実です。そのまま貼り付けて使える形にしました。返答は口頭ではなく書面でもらってください。
| 確認したいこと | そのまま送れる質問文 | 返答が曖昧なときに起きること |
|---|---|---|
| 振り分けができるか | 「発信者のプッシュ操作で着信先の内線を振り分ける機能はありますか。留守番電話の自動応答ではなく、振り分けの可否を教えてください」 | 納品後に「自動応答は付いているが振り分けはできない」と分かる |
| 階層と分岐の上限 | 「ガイダンスの階層は何段まで、1階層あたりの分岐は何通りまで設定できますか」 | 設計した導線が実装できず、案内を作り直すことになる |
| 音声ファイルの費用と本数 | 「ガイダンス音声の作成に別料金はかかりますか。かかる場合、料金の単位(本数か、ライセンス数か)と上限を教えてください」 | 季節の案内を1本足すたびに追加費用が発生する |
| 差し替えの作業者 | 「ガイダンスを差し替えるとき、当社側だけで完結しますか。主装置の操作や訪問作業が必要な場合はその旨と費用を教えてください」 | 臨時休業の案内を当日に切り替えられない |
| 無操作・時間外の動き | 「発信者が何も押さなかった場合と、営業時間外に着信した場合、それぞれどこにつながりますか」 | 番号を押さない発信者が延々と待たされ、切られる |
この5つに書面で答えられる業者は、IVRを実際に設定した経験があります。逆に「できます」だけが返ってくる場合、その業者はメーカーのカタログを読み上げているだけの可能性があります。保守契約の内容とあわせて確認する手順はビジネスフォンの年間保守費用で扱っています。
条件を固めてから、同じ内容で複数社に投げる
IVRは、要件の書き方で見積書の中身が大きく変わる機能です。「IVRを付けたい」とだけ伝えると、振り分けの階層も、ガイダンスの本数も、無操作時の動きも各社バラバラの前提で組まれます。
| 相談先 | 向いている状況 |
|---|---|
| EMEAO!(一括見積もり) | 振り分けの要件は決まっているが、どの業者ならIVRの設定まで対応できるか分からず、審査を通過した業者から選んでもらいたい |
| OFFICE110 | クラウドPBX側でIVRを標準搭載している構成を含めて、販売・工事・保守を1社で完結させたい |
| NTT東日本 | 回線から一体で契約したく、既存の主装置を残したまま何ができるかを含めて確認したい |
各社の対応範囲の違いはビジネスフォン業者の比較、評価の並びはビジネスフォン業者ランキングで確認できます。
条件を1回入力すれば複数社に同じ内容が伝わる一括見積もりサービスなら、前提のずれを最初から防げます。
よくある質問(FAQ)
Q. 販売店から「自動応答なら付いています」と言われました。それはIVRですか?
A. 同じとは限りません。ナカヨはNYC Biz Serverの仕様ページで、留守番電話を「外線着信に自動応答し、用件メッセージを録音できる。『応答専用モード』も選択できる」と説明しています。これは自動で応答して録音する機能で、発信者を担当部門へつなぐ機能ではありません。一方サクサはPLATIAⅢの製品ページで、IVR機能を「かかってきた電話に自動応答し、番号案内とお客様のプッシュ操作により、該当部門へつなげることができます」と説明しています。取り次ぎを減らしたい場合に必要なのは後者です。確認するときは「自動応答できますか」ではなく「発信者のプッシュ操作で着信先を振り分けられますか」と聞いてください。
Q. 主装置のカタログにIVRの記載がなければ、その機種ではIVRを使えないということですか?
A. そうとは限りません。2026年8月27日時点で、サクサ PLATIAⅢ 製品ページ、ナカヨ NYC-X 仕様ページ、ナカヨ NYC Biz Server 仕様ページ、NTT東日本 SmartNetcommunity αZX typeS,M 構成・仕様ページ、NTT東日本 ひかりクラウドPBX のサービスページと料金ページ、OFFICE110のクラウドPBX「OFFICE PHONE」ページを確認したところ、プッシュ操作による振り分けを明記していたのはサクサ PLATIAⅢ と OFFICE PHONE の2つでした。ただしこれは「サイト上の公表値では判断できない」という意味であって、機能が存在しないという意味ではありません。オプション機器や外付けの装置で対応できる場合もあります。判断材料が必要なら、商談で書面に書いてもらってください。
Q. クラウドPBXなら標準でIVRが使えますか?
A. サービスによります。OFFICE110はクラウドPBX「OFFICE PHONE」について、通話録音やIVR、CTIなどの機能を標準搭載していると明記しています。一方NTT東日本のひかりクラウドPBXは、サービスページにも料金ページにもIVR・自動音声応答・音声ガイダンスにあたる記載がありません。料金ページのオプション欄に並んでいるのは、全体チャネル追加利用料が10チャネルごと5,500円、VoIP-GWチャネル追加利用料が1チャネルごと550円、レンタルIP電話機が1装置ごと935円、LAN給電装置が1ポート用220円・8ポート用1,650円の5項目だけで、IVRという項目はありません。クラウド型かどうかではなく、サービスごとに確認する必要があります。
Q. IVRのガイダンス音声は自分で作れますか?
A. 作れる製品がありますが、条件が付きます。サクサはPLATIAⅢの製品ページで、クラウドサービス「らくらくGuidance」について「クラウドサービスでお客様が好きな言葉を音声合成して、ガイダンスを作成できます」と説明し、注記として「ご利用には有償のライセンスが必要です。1ライセンスにつき5ファイルが生成可能です。本サービスで音声ファイルを作成、その後ファイルを主装置へ取り込んでご利用ください」と明記しています。つまり音声ファイルの本数に応じてライセンスが必要になり、作った音声は主装置へ取り込む手順を踏みます。ガイダンスを季節や時間帯で作り分ける運用を考えている場合は、必要な本数を先に数えてから見積もりを取ってください。
Q. IVRを入れると、同時に受けられる電話の本数は増えますか?
A. 増えません。むしろ1本あたりが回線を使う時間が延びます。ガイダンスを再生している間も発信者のプッシュ操作を待っている間も通話は成立しており、外線チャネルを1本占有しているためです。平均通話時間が3分の窓口にガイダンスと選択待ちで30秒を足すと、1本あたりの占有時間は3分30秒になり、約16.7%増えます。平均通話時間が1分の窓口なら同じ30秒で約50%増です。サクサはPLATIAⅢの外線収容数について、ひかり電話オフィスタイプの場合はStandard・Professional・Ultimateのいずれも最大8チャネルと公表しています。回線メニューを変えずにIVRを足すと、この8チャネルを従来より長く使うことになります。
相談する前に、この4つを数字にしておく
新規に導入する場合も、既存の主装置に足す場合も、揃える数字は同じです。
- 用件を種類ごとに数える:1週間ぶんの着信を「請求」「配送」「注文」のように分類し、件数を並べます。3種類以上に割れていなければ、IVRで減る取り次ぎはほとんどありません
- 1件あたりの平均通話時間を測る:この数字が、ガイダンスを何秒まで許せるかを決めます。1〜2分で終わる窓口なら、ガイダンスは15秒以内に収める前提で設計してください
- ガイダンスの本数を数える:階層ごとの案内に加えて、時間外・休業日・繁忙期の作り分けを含めて本数を出します。この本数が、作成ライセンスと差し替え作業の頻度を決めます
- 現在の外線チャネル数を確認する:契約している回線メニューと、そこで使えるチャネル数です。ここに余裕がない状態でIVRを足すと、取り次ぎは減っても話中が増えます
この4つが埋まっていれば、各社から返ってくる構成が同じ土俵に乗ります。逆にここが空欄のまま「IVRを付けたい」とだけ伝えると、階層もガイダンス本数も違う見積書が、金額だけ並んで届きます。
